漫画やドラマでは、借金の返済が滞ってしまい厳しい取り立てが行われる、という話をよく見かけますが、もしも返済しなかった場合には、実際にはどのような対処をなされることになるのでしょうか。
返済の遅延と利息について見ていきましょう。
学生ローンと名前を変えてもキャッシングと変えても、ローンは借金と同じであり、契約を結べば返済義務も生じますし、様々な法律によって制限されることになります。
キャッシングサービスを利用して、もしも返済が滞ったり返済できなかったりした場合には、以下の処置がなされることになります。
1. 遅延損害金の発生
2. 借金返済の催促電話
3. 督促状が郵送される
4. 自宅訪問
5. 信用情報に事故として記録
6. 残高の一括返済要求
7. 給料の差し押さえ
例えば返済期日が25日なのにも関わらず、月々の返済額が銀行口座から引き落とせない状態になっていたり、指定の口座へと返済として振り込まれていなかったりすると、「返済遅延」と見なされることになります。
期日に遅れると遅延損害金が発生することになり、通常の利息に加えてペナルティのように新たに利息が発生することになります。
貸金業法の定めるところにより、消費者金融が提供しているキャッシングサービスの上限金利は20%までとされていますが、遅延損害金は利息制限法によって上限金利の1.46倍までと定められており、このペナルティと通常の利息(約定返済における利息)を加味した上で返済義務が生じることになります。
ただし、上限金利はあくまで20%となりますので、それ以上の金利にて請求されることはありません。
もしも20%以下の金利で融資を受けていた場合には、最大で20%までは請求する権利が生じるという意味です。
例えば50万円を18%の金利で融資してもらっている場合には、18%の1.46倍にあたる26.28%が上限金利と算出できますが、貸金業法によって20%までしか請求できないことになります。
それならばそこまで変わらないのではないか、と感じるかもしれませんが、100万円を15%で融資してもらっていたとしたら、最大で20%までの遅延損害金を請求できるということになりますので、その差は5万円にも相当するため積み重なると大きなものになってしまいます。
この段階で返済に応じると、金利の加算というペナルティが加えられるだけですのであまり問題にはなりません。学生ローンも貸金業の内に含まれるため、例外はありませんので、返済は滞り無く済ませる必要があります。
よく漫画やドラマなどで、いかつい格好をした人たちが借金を取り立てるために債務者の自宅を訪問して、ドアを叩きまくる、そして出てくるやいなや首根っこを捕まえて借金を返済させようとする。
それでも返済しようとしなければ殴る、蹴るの暴力を振るうというシーンを見かけますが、現実にはこのようなことはまずあり得ません。
もともと法外な金利を請求してくる闇金ならあり得るかもしれませんが、テレビCMなどで大々的に名前を報じているような消費者金融業者や銀行においては、決して暴力を振るうこともありませんし、恐喝じみた方法もとらず、あくまで合法的な方法によって取り立てを行うことになります。
その方法が上記で説明した「電話連絡」「督促状の郵送」「自宅訪問」という手順となります。
電話連絡は文字通り、電話にて返済が遅れていて遅延損害金が発生していることや返済について説明されることになります。
督促状の郵送は、自宅あてに「早く返済をしてください、これ以上遅延すると法律に頼ることになる」という旨の書状が送られることになり、自宅訪問は債権者である消費者金融業者や銀行の担当者が自宅まで足を運び、説明や催促をすることになります。
やくざや暴力団に頼むようなことはなく、あくまでお話をするだけで、法律に触れることはされません。
催促についても法律によって条件が定められており、訪問時間は1時間までとされていたり、訪問者の人数は2人までに制限されていたり、午前8時より前や午後9時以降は訪問してはいけないなどの規定がなされています。
ここまでしても返済に応じてもらえない場合には、事故として処理されることになり、いわゆるブラックリストに名前が載ることになります。信用情報に傷が付き、今後借金をする時には断られてしまうケースも考えられます。
とうとう最後まで返済しないとなると、法律の力で解決するしかなくなってしまいます。
まずは残高の一括返済の請求がなされることになり、融資を受けた金額(元金)に加えて、利息と遅延損害金の総計が提示されることになります。
これは後に続く差し押さえのために必要な手順で、裁判所が法律の力で差し押さえをする、その申請を受諾してもらうためにも必要となります。
最後は差し押さえという形になりますが、これは消費者金融業者や銀行といった債権者が行うのではなく、裁判所が第三者的に強制的に執行してくれることになります。
法的な決定にまで至ると、債務者は何も言うことができなくなり、従うしかありません。
差し押さえと言われてもピンとこないかもしれませんので加筆しておくと、具体的には給料の一部が無理やり返済へとあてられることになります。
これもドラマなどでよくあるシーンの話になりますが、家具へシールをぺたぺたと貼っていき、自宅から持ち出されるというシーンがありますが、このような差し押さえ(動産の差し押さえ)は法律によってほとんど禁止されているため、現実では相当なことが無い限りは起こり得ません。
給料の差し押さえは金額についても法律によって制限がされており、給料の1/4に相当する金額までとなっているため、いわゆる「食う分だけは残してやる」といった状態が出来上がることになります。
学生ローンも借金は借金で、返済しなければ法律の力で最終的には解決させられることになりますが、長引けば長引くほど金利は膨れ上がっていくことになりますので、可能であれば早めに返済に応じるようにしましょう。
また、約定返済(月々に決められた金額の返済)が困難な場合には、債権者に対して連絡を入れておく必要があります。
場合によっては債権者の譲歩を引き出すこともできるかもしれず、「今月は利息分だけ支払っていただければ結構です」と言ってくれる可能性もあります。
連絡も取らずに放置してしまうと、返済の意思が無いものとして判断され、上記のような強硬的な手段を取るかもしれません。
債権者に対して報告と相談をしておくことを強くお勧めします。
学生ローンと言われるとそれほど重いものではないサービスのようにも聞こえますが、借金には他ならず、もしも返済できない状態に陥ってしまった場合には法的な力をもって解決されることになります。
返済遅延金を含めた借金の全額請求や、督促状が送られてきたり、自宅を訪問されたり、最終的には給料が差し押さえられることにもなりますし、信用情報にも傷がつくことになりますので、1つも良いことはありません。
本当に困っている場合には隠さずに恥を忍んで債権者と相談してみることを強くお勧めします。借金は必ず返すようにしましょう。